その「吐き気・胃のムカムカ」、鍼灸で和らげてみませんか?

「胃がムカムカして、いまにも吐きそう」

「抗がん剤治療や手術のあとの吐き気がつらい」

「妊娠初期のつわり(妊娠悪阻)で、水も喉を通らない」

「乗り物酔いがひどく、お出かけが不安」

悪心(吐き気)や嘔吐は、心身に大きな体力を消耗させる非常に不快な症状です。胃腸のトラブルだけでなく、ストレスや脳の疲れ、お薬の影響など、さまざまな原因が複雑に絡み合って起こります。

なぜ「胃」以外が原因でも吐き気が起こるのか?

私たちの脳の延髄には「嘔吐中枢」と、血液中の薬物や代謝異常を感知する「CTZ(化学受容体引金帯)」というコントロールセンターがあります。

胃腸の炎症だけでなく、「強いストレスや不快な記憶」「内耳の乱れ(メニエール病や乗り物酔い)」「お薬の成分(抗がん剤など)」といった刺激がこの脳のセンターに伝わることで、自律神経が乱れ、顔面蒼白や冷や汗、そして吐き気が引き起こされるのです。

科学的にも注目される、鍼灸の「制吐(吐き気止め)効果」

当院の鍼灸治療は、胃腸の働きを直接調えるだけでなく、脳の嘔吐中枢や自律神経の興奮を鎮めるアプローチを行います。

特に手首にある「内関(ないかん)」というツボへの刺激は、医療行為に伴う吐き気、つわり、乗り物酔いに対して優れた効果があることが現代医学の研究でも明らかになりつつあります。

「お薬を増やしたくない」「妊婦さんなので薬が飲めない」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

🚨 【重要】まずはご確認ください(緊急性の鑑別基準)

吐き気・嘔吐の背景には、脳の病気や急を要する内臓疾患が隠れている場合があります。以下のような症状を伴う場合は、まずは速やかに医療機関(専門医)を受診してください。

  • 激しい頭痛や、手足のしびれ・麻痺を伴う場合(中枢神経疾患の疑い)
  • 激しい腹痛、お腹の張り、排便・ガスの停止、冷や汗を伴う場合(イレウスや急性膵炎など急性腹症の疑い)
  • 吐いたものに血液が混じる(吐血)、または悪臭(便臭など)を放つ場合
  • 回転性のめまい、耳鳴り、難聴を伴う場合(メニエール病の疑い)

※病院で適切な診断・治療を受けられている上でのサポート(副作用の緩和など)や、心因性・自律神経性の吐き気に対して、鍼灸治療は素晴らしい相乗効果を発揮します。

悪心・嘔吐に対する当院の臨床アプローチ

悪心・嘔吐の鍼灸臨床においては、延髄の嘔吐中枢およびCTZ(化学受容体引金帯)を介した病態(中枢性・末梢性)を現代医学的に評価しつつ、東洋医学的な「胃気上逆」に対する和胃降逆の弁証論治を行います。

① 現代医学的・臨床的エビデンスの活用

現代医学において作用機序の解明が進んでいる「内関 (PC6)」への刺激を中心に据えます。内関へのアプローチは、抗がん剤による化学療法、術後の悪心・嘔吐(PONV)、妊娠悪阻、動揺病(乗り物酔い)に対して制吐作用を発揮することが臨床的にも広く認められています。

② 東洋医学的アプローチ(弁証論治)

東洋医学では、吐き気があり吐物がないものを「嘔」、実際に胃内容物を吐き出すものを「吐」と呼び、どちらも「胃気が和降できずに上逆した状態」と捉えます。

  • 基本穴(常用穴)中脘 (CV12)(胃の募穴)、足三里 (ST36)(胃の下合穴)、内関 (PC6)(八脈交会穴)、公孫 (SP4)(八脈交会穴・脾経絡穴)の4穴を基本の「和胃降逆ネットワーク」として必ず使用します。
病証(タイプ)発生機序・病態特徴的な随伴症状基本穴に加える経穴
飲食停滞生もの・冷物・脂っこいものの過食により胃気が和降不能に陥る(実証)吐物に酸腐臭あり、厭食、腹部脹満、口臭、舌苔腐厚、脈滑実下脘 (CV10)
情志失調
(肝気犯胃)
ストレスにより肝鬱となり、肝気が横逆して胃を侵襲、胃気が上逆する呑酸(酸っぱいものが上がる)、曖気(げっぷ)、胸脇脹満、脈弦太衝 (LR3) (肝経原穴による疏肝)
脾胃虚弱平素からの虚弱や労倦(過労)により脾を損傷、運化失調から水穀が停滞顔面萎黄、四肢倦怠、無力、食欲不振、軟便、舌淡薄白、脈濡弱脾兪 (BL20)胃兪 (BL21)太白 (SP3)(健脾和胃)

当院では、器質的疾患や急性炎症などのレッドフラッグを厳格に除外した上で、これらの健脾和胃・降逆止嘔の配穴を的確に運用し、高い臨床効果を上げています。