「耳鳴りではないのに、頭の中で音がする…」そんな症状はありませんか?
「キーンという音がする」
「ジーッという音が頭の中で響く」
「耳をふさいでも音が聞こえる」
「耳鳴りだと思っていたけれど、どうも耳ではなく頭の中で鳴っている感じがする」
このような訴えを「頭鳴(ずめい)」と表現することがあります。東洋医学では「脳鳴(のうめい)」と呼ばれることもあります。
一般的な耳鳴りでは「耳の中で音がする」と感じるのに対し、頭鳴では頭頂部、後頭部、前頭部など、頭の内部で音が響いているように感じることがあります。
ただし、患者さん自身が「耳なのか頭なのか」を正確に区別することは難しいため、まずは症状を丁寧に確認することが大切です。
頭鳴と耳鳴りは同じもの?
似ていますが、患者さんの感じ方には違いがあります。
| 耳鳴り | 頭鳴 | |
|---|---|---|
| 音を感じる場所 | 耳の中 | 頭の中 |
| 音の感じ方 | キーン、ジー、ザーなど | 頭の内部で響く感じ |
| 伴いやすい症状 | 難聴、耳閉感、めまいなど | 頭重、めまい、ストレスなど |
| 確認するポイント | 左右どちらか、両側か | 頭頂・後頭・前頭などどこで鳴るか |
ただし、これは症状を理解するための目安です。
「頭の中で音がする」という訴えだけで、耳の病気や脳の病気を否定することはできません。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会でも、耳鳴りは実際には音がしていないにもかかわらず音が聞こえる現象とされ、難聴などとともに出現することがあります。
そのため、初めて経験する症状、急に出現した症状、片側だけの症状、難聴・めまい・神経症状を伴う場合などは、まず医療機関での確認が重要です。
頭鳴で確認したいこと
鍼灸院で「頭の中で音がする」と相談された場合、単純に「頭のコリ」だけで判断することはおすすめできません。
まず、次のようなことを確認します。
① どこで音がするのか
- 耳の中なのか
- 頭頂部なのか
- 後頭部なのか
- 前頭部なのか
- 頭全体なのか
② どんな音なのか
- キーン
- ジー
- ザー
- ブーン
- ドクンドクン
- ゴーッ
- 音楽や声のように感じる
など、音の種類を確認します。
③ いつ起こるのか
- 常にある
- 夜になると強くなる
- 静かな場所で気になる
- ストレスを感じると出てくる
- 疲れると悪化する
- 天気が悪いと悪化する
などを確認します。
④ ほかの症状はないか
- めまい
- 難聴
- 耳閉感
- 頭痛
- 頭重
- 首・肩こり
- 不眠
- 動悸
- 不安感
- 耳鳴り
などを確認します。
こんな場合は、まず医療機関へ
「頭の中で音がする」という症状だけで重大な病気を意味するわけではありません。
しかし、以下のような症状がある場合は、鍼灸より先に医療機関での評価を優先します。
- 急に音が出現した
- 急激に症状が悪化した
- 急な難聴を伴う
- 強いめまいを伴う
- 顔や手足のしびれ・麻痺がある
- ろれつが回らない
- 意識がおかしい
- 強い頭痛を伴う
- 「ドクンドクン」と脈拍に一致する音がする
- 片側だけに強く出現する
- 神経症状を伴っている
特に、難聴やめまいに神経症状が加わる場合には、脳梗塞など他の疾患も考える必要があります。
また、耳鳴りの診療では、聴力検査などを含めて原因を評価することが重要とされています。
東洋医学では「頭鳴」をどう考える?
東洋医学では、頭部は「清陽」が上昇し、気血や精が十分に供給されることで正常な機能を保つと考えます。
そのため、
肝の気が滞る
↓
痰湿・湿熱が頭部に影響する
↓
腎精が不足する
↓
心・脾の気血が不足する
など、身体全体の状態から頭鳴を考えていきます。
つまり、
「頭で音がする=頭だけの問題」
と考えるのではなく、音が出現する条件と、身体全体の状態を一緒に見るのが東洋医学的な考え方です。
頭鳴の代表的な東洋医学的タイプ
① ストレスで悪化する「肝気鬱結タイプ」
仕事や人間関係などでストレスを感じると、「頭の中で音がする」「イライラすると音が強くなる」というタイプ。
さらに、
- イライラ
- 気分の落ち込み
- ため息が多い
- 胸や脇が張る
- 月経前に悪化する
などがあれば、東洋医学では「肝気鬱結」を考えます。
鍼灸では、太衝・支溝・陽陵泉などを用いて、肝の気の流れを整えることを考えます。
② 湿気や食生活で悪化する「湿熱タイプ」
「雨の日になると頭の中の音が気になる」
「湿度が高いと悪化する」
「飲酒すると悪化する」
「脂っこいものや甘いものを食べると悪化する」
という場合。
さらに、
- 身体に熱がこもる感じ
- 口が粘る
- 口渇
- 尿が濃い
- 身体が重い
などを伴う場合は、東洋医学では「湿熱」を考えます。
鍼灸では、陰陵泉・豊隆・中脘・頭維などを用いて、湿や痰を整理し、頭部の清陽の流れを整えることを考えます。
③ 疲れると悪化する「腎精不足タイプ」
「仕事で疲れると頭の中の音が強くなる」
「睡眠不足で悪化する」
「慢性的に続いている」
という場合。
さらに、
- 腰や膝がだるい
- 耳鳴り
- 難聴
- 性欲低下
- 脱毛
- 歯が弱くなった
- 疲れやすい
などを伴う場合には、東洋医学では「腎精不足」を考えます。
鍼灸では、腎兪・太谿・関元などを用いて腎を補い、全身の状態を整えていきます。
④ 疲労・不眠・不安を伴う「心脾両虚タイプ」
頭鳴に加えて、
- 疲れやすい
- 不眠
- 夢が多い
- 動悸
- 不安感
- 食欲低下
- 軟便
- 顔色がすぐれない
などがある場合には、東洋医学では「心脾両虚」を考えます。
このタイプでは、頭だけに刺激を集中させるのではなく、心と脾を補いながら全身状態を整えることが重要です。
メリディアンハウスの頭鳴への鍼灸
頭鳴の場合、症状が出ている頭部だけに鍼をするとは限りません。症状の出方を確認し、頭部+首肩+自律神経+全身の状態を組み合わせて施術します。
例えば、
- 首・肩の緊張が強い
- ストレスが強い
- 睡眠が乱れている
- 頭重・めまいを伴う
- 疲労が蓄積している
など、それぞれの状態に合わせて施術方針を変えていきます。
大切なのは、「頭鳴という症状だけを見る」のではなく、「なぜその症状が出ているのか」を身体全体から考えることです。
頭鳴で鍼灸を検討している方へ
頭の中で音がすると、「脳に何かあるのでは?」「耳の病気では?」と不安になる方も少なくありません。だからこそ、最初から「鍼灸で治そう」と決めつけるのではなく、必要に応じて耳鼻咽喉科などで状態を確認することが大切です。そのうえで大きな問題が確認されず、
- ストレスで悪化する
- 首肩がこる
- 睡眠が乱れている
- 疲れると強くなる
- 頭重やめまいを伴う
- 慢性的に続いている
といった場合には、鍼灸によって身体全体の状態を整えることを検討できます。
よくある質問
Q. 頭鳴と耳鳴りは違いますか?
症状の感じ方としては、耳の中で音を感じるのが耳鳴り、頭の内部で音を感じるのが頭鳴と説明できます。
ただし、実際には両者を明確に区別できないケースもあります。
Q. 頭鳴は脳の病気ですか?
頭鳴を感じるからといって、脳の病気とは限りません。
一方で、急な発症、神経症状、急な難聴、強いめまい、拍動性の音などがある場合には、医療機関での評価が必要です。
Q. 鍼灸で頭鳴は治りますか?
原因や状態によって異なります。
鍼灸は、頭鳴そのものだけを対象にするのではなく、首肩の緊張、ストレス、睡眠、疲労などの身体状態を評価して施術します。
「耳鳴りだと思っていたけれど、頭の中で鳴っている」
そんな場合は、まず「どこで・どんな音が・いつから・何をすると強くなるのか」を確認してみてください。
頭鳴は比較的まれな訴えだからこそ、症状を丁寧に整理することが大切です。
メリディアンハウスでは、必要に応じて医療機関との連携も考慮しながら、東洋医学的な体質・病証と、首肩や自律神経などの身体所見を組み合わせて施術方針を考えます。
